川上裕介の巻

小境: 川上裕介・・・。へえ、こんな名前だったの、というかんじ。
川上: みんな「ガブ」としか呼ばないから、よく名前忘れられるよ。
小境: そもそも、なんで「ガブ」なの?
川上: いやあ、なんとなく、顔が「ガブ」っぽいっていわれて・・・・。
小境: 確かに「ガブ」っぽい。いっそ芸名「ガブ」にしたら?
川上: あははははは
小境: でもって、「GAB」のロゴ入りのパーカーをつくって、ストリートで
    ガッブ旋風を巻き起こす。カーキ・ア・ゴーゴー!
川上: やろうか?
小境: やろうよ。
川上: ・・・・ところで、演劇の話は?
小境: あ、そうか。じゃあ、本題に入ろう。ガブがやっている役って、基本
的に「格好悪い」男ばっかりだよね。でも、実はそれってアニュータ
    の劇団コンセプトをそのままあらわしているとおもうんだよ。
川上: 「滑稽さゆえにもの哀しい」ってこと?
小境: うん。ある意味、アニュータの看板俳優ってガブだと思う。
川上: ある意味ねぇ。でもさ、アニュータの役者はみんな「格好悪さ」を
    追求してるんじゃない?
小境: いや、ガブほど「格好悪い」人ってなかなかいないって。
川上: それ・・・・喜んでいいの?
小境: ほめことば!ほめことば!今回ガブの演じるメドヴェージェンコも、
    「これでもか!」ってくらいみじめだよね。
川上: そうね。
小境: ガブのみじめっぷりは、「かもめ」のみどころのひとつだと、僕はおも
    うんだけど、ガブは「かもめ」についてどうおもってる?
川上: あれを喜劇ととらえられる、チェーホフの視点がスゴイとおもう。
小境: なるほど。では最後にお客様にひとこと。
川上: まあ気楽に観に来てください。

川上裕介


1978年埼玉県出身。チェーホフ作、猪瀬演出の
「街道すじ」で初舞台を踏む。哀愁ただようたたず
まいで、アニュータ俳優陣の脇をかためる。劇団
内では「ガブ」の愛称で親しまれている。

小境宏のライオン